今回はコロナウィルスによって遠のいてしまっていた念願の海外仕入れを果たした 今津氏 に 旅の事 を伺いながら、これから誕生する アクセサリー の事を、皆様に想像頂ける様に Q & A にご協力頂きました。皆様にとって発売が余計に楽しみになります様に。
Q : 念願の旅であり海外買付、率直に先ずは如何でしたか?
A : この様な時期に海外へ行く事への葛藤はありました。諸外国では様々なコロナに関する規制が撤廃され始めましたが、日本国内ではコロナに関する予防意識が非常に高いので。海外に出れなかった2年半の間は、今まで仕事をしてきた人達とはonlineでできる仕事はしてきました。なぞる仕事はonlineで出来る事がわかりましたし、これからもそのやり方で進めていく事もあります。ただ、TWENTYに関してはやはり限界が有り、パーツも無くなってきたタイミングで行ける国が有れば何処かへ行こうとずっと考えていました。結果、慣れ親しんだネパールを選んだのですが、空港からホテルへ向かうタクシーの中から見るいつもの風景が当たり前じゃなくなるかもしれなかったのかと、時間はかかったけど、また来れる様になった事に素直に安心しました。
Q : 今回はどういうルートを辿ったのでしょうか?
A : 諸外国の入国基準も国によって入国条件が異なるので、先ずはそれらを精査し、ワクチン接種済みで陰性照明書を提出すれば入国できる国を探しました。いくつか候補は有りましたが、何か不測の事態が起こった時に助けてくれる友人がいるネパールを選びました。当初は首都のカトマンズから南へ下ってタライ平原を西へ向かうルートを考えていました。インド国境付近の街で何か面白い物を見る事ができないかと。スケジュールを考える中で、本当はこの2年半のどこかで行こうとしていたチベットやモンゴル、カザフスタンの事を考えているうちに、ネパール北部のムスタンに行ってみようと思いました。
ムスタンはチベット文化が色濃く残り、今のチベットよりチベットらしい地域だと聞いていていつか行きたかったのですが、入域に3人以上のグループで有る事、ガイドを伴わなければならない、入域料に約500$必要で…と とにかく時間もお金もかかる。そんなムスタンはロームスタンとアッパームスタンと呼ばれる区域に分かれていて、ロームスタンもパーミットは必要ですが、比較的制限も少なく行動できる。カトマンズに別案件の仕事をいくつか置いてきているので、そちらの進捗状況によってはどうなるかわからない。
じゃあ、とりあえずアッパーまで行くつもりで、あらかじめ取得したパーミットで行けるアッパーとのギリギリのライン、ヒンドゥの聖地「ムクティナート」を目指そうと。カトマンズ→ポカラ→マルファ→ジョムソン→カグベニ→ムクティナートというルートで旅に出ました。
Q : INSTAGRAM (@twenty_seven_nine_279) での現地のリポート、更新を楽しみに拝見していました。現地の人はピースフルで活気に溢れていそうで、景色は見た事のない迫力を感じました。今回特に記憶に残った出来事は何でしたか?
A : 結果聖地巡礼みたいな旅になったのですが、チベット仏教もヒンドゥも混在していて、それぞれの宗教に壁が無く、皆が共存している感じがしました。
自身もカグベニのお寺でチベット仏教の朝のお勤めに参加させてもらったり、ヒンドゥの聖地ムクティナートでは水行を行いました。TWENTYはアジアだけではなく、ヨーロッパやアメリカの物も取り入れていますが、今回はどっぷりとアジアにつかっても良いかな。と思った旅でした。あと、標高2800mから一気に3800mまで登った時は100mまともに歩けないなので、何度も、思ってたんと違う、と思いました。
Q : 海外、トラブルは無く過ごせましたか?
A : カトマンズの国際空港「トリブバン国際空港」で日本に帰る出国時に、購入した全てのパーツを没収されそうになりました。ネパールではヴィンテージやアンティークの持ち出し制限が有り、100年以上前だったかはうる覚えですが、持ち出すには許可がいるとか。知ってはいましたが、今まで100年以上前の物を持ち出した事が無く、20回以上ネパールへ行っていてチェックされた事もなかったのでさすがに焦りました。インボイスを一点一点確認しながら説明しましたが没収するとの一点張りで、最後はネパールの友人に電話をかけ、説明してもらい事なきをえました。ネパールに行先を決めた一番の理由、「頼れる友人がいるところ」に助けられた旅でした。
Q : 様々な 27/9 アクセサリーに生まれ変わる パーツの出会いがあったと思うのですが、幾つかご紹介ください。
1.チベット文化が色濃く残るカグベニで購入したヤギの角。ただ髪を分ける為に首からぶら下げていた角。自分達には決して無い習慣や日常がそこに見えて気分が高揚したのと同時に、これをそういった説明なかったら、何の躊躇もなく買ったんだろうかと考えさせられたアイテム。 2.Silverのカンタ―。これもカグベニで購入。108珠に繋げるカウンターで、お経を唱えた数を数えるカウンター。年代物でシルバー(チベット銀)のカウンターは代々子孫が受け継ぐ物で中々譲ってくれませんが、カグベニの骨董品屋で譲ってもらいました。 3.真鍮のThokcha。チベット族のお守り。チベット密教法具をモチーフに作られた強いお守り。アンティーク物になると数万円します。今回購入した物は100年経っていない物との事ですが、最近はその年代の物でも譲ってくれる人がいないので、完全に出会いです。 4.インド北東部、ベンガル地方のガネーシャのペンダントトップ。代々ファミリーでジュエリーを取り扱うインド系のネパール人から譲ってもらいました。シルバーにゴールドメッキが施されています。シルバーの枠にシルバーを被せた木か何かをはめ込んで、ゴールドメッキしているのではないかと思います。古い物ではありません(20~30年前)が、これも出会いの1つです。
Q : 凄いですね。どういった経緯で出会ったのですか?
A : 今回は事前に行く事を伝えていたディーラーの人もいます。彼はマナンというムスタンの街の出身で、チベットの法具やパーツに強いディーラーさんです。お願いしていた物を探してくれていましたが、一番欲しかった物は見つからなくて残念でした。ただ、彼は年代や素材に関してしっかりとした知識が有り信頼できるディーラーなので安心して取引できます。マルファという街からムクティナートまで二日間徒歩で移動していたのですが、かつては徒歩でしか移動手段がなかった聖地へ行く人達で栄えた道沿いのホテルやお店は、今では皆バスや乗り合いジープで移動するので、廃業したか、本当に僅かに残っているだけでした。そんな誰も訪れないお店でチャイを飲みながらの休憩中に、埃まみれになって棚に放置されてあった物を譲ってもらったり、民家を見せてもらった際に玄関に置いて合った物を譲ってもらったり。それらをどう使って森田にアクセサリーにしてもらおうという考えは無く、ただ偶然そこに有ったものを単純に欲しい。という欲だけで購入しています。
Q : アクセサリーになるのがとても楽しみです! 前回は総勢100点の圧巻の品揃えでした。おひとりで制作だから考えるだけで凄いです。 前回は新作のピアスやシグネチャーなネックレスが多かった印象ですが、今回はどうでしょうか?
A : 以前は二人で買い付けに行っていましたが、最近は自分が外に出て森田が1人で製作しています。今回はわりとパーツ自体に存在感が有るものを多く買い付けているので、製作としては更に難しくなっていると思います。他人事ですが。
Q : 全てが1点物で既にスペシャルなのですが、パーツ量や編み立てがより手の込んだアイテムが数点いつも存在しています。今回もお目にかかれるのが楽しみです。一体どれほどの制作時間がかかっているのか。。。
A : 1点1点作るというよりは、数点同時進行で進めています。すんなりフィニッシュまで行くものもありますが、途中で置いておいてほかの製作に取り掛かり、そこで気にいった繋げ方や編み方があれば、後ろに戻って足していったり、または引いて行ったりしています。1か月近く進んでない物もありますが、あるきっかけで一気に進む事もあります。1点という事で製作時間を考えると、1日、2日で出来る物ではない事は確かです。
Q : そういえば今回の旅では Silver 925 を用いた現地の作家さんのアクセサリーとの出会いもあったんですよね。民族性とシルバーアクセサリーが見事に融合されたアクセサリーだと感じました。どういった経緯で誕生したアイテムなんですか?
カトマンズのお店でTWENTYに使用する為に、Tharuのメタル製アンクレットを数本購入しました。それはタライの人達がお祭りや祝いごとの際に身に着ける装飾品なのですが、柄というか模様がとてもキャッチーで、この模様を使ってシルバーでアクセサリーを作ってみたい。どうせならタライ出身の人に作ってもらえたら、と知人に話をしたら、タライ出身でジュエリーを製作しているかたを紹介してもらいました。実際の出来にかなり満足していますし、次回は指輪も製作してもらう予定です。
Q : 今回もお忙しい中 Q&A にご協力頂きまして誠にありがとうございました。本当に楽しみです。お客様に最後に一言お願い致します。そういえば特別にご用意下さったノベルティの事もチラッと、お願いします!
当初はカトマンズから南へ、インドとの国境付近へ行こうと思っていた訳ですが、まさかの予想もしてなかった北へ行き「聖地巡礼」の様な旅になりました。当然旅のルートによって感じる事も、購入するパーツも全く変わりますから、行き当たりばったり感は否めませんがそれがまた面白いと感じています。デザイン担当の森田としては、今回のパーツは製作するのにかなり難しい物だったと思いますが、今までにないTWENTYのアクセサリーとなりました。是非イベントで直接ご覧ください。お待ちしております!今回はご購入頂いた方にノベルティをご用意しました。ネパールの世界遺産の1つで、ブッダのお骨が埋葬されている「ボダナート」というチベット仏教の中心地があるのですが、そのボダナートのお土産屋さんで購入しました物になります。2種類用意しておりまして、筒状の方は中にお経が、四角い方は中に僧侶が座る座布団の生地が入っています。いずれもお守りとして販売されていた物になります。けして珍しい物ではなく、高価な物でもないですが、身に着ける物としてとてもシンプルな「お守り」=「アクセサリー」良かったら使って下さい。