SGGM Project – Lot 3001 2nd Delivery
SGGM Lot 3001 Cinch Back Denim の再生産分が到着いたしました。久しく感じてくださる方、新しく感じてくださる方、両者入り乱れる時代なのかなと感じる 2021 年。原点回帰であり新しい挑戦である本格デニムのオリジナルレーベルによるリリース。作り込みは涎が垂れる MADE BY ONE MAN です。ひとりのデニム職人が1本1本手作りする THE AUTHENTIC DENIM。作り込む時代背景から吟味し各ディテールが存在しています。作業着として存在したデニムに改良が加えられ、変逸していく初期の年代がベースです。今回はディテールを追いながらご紹介。職人技が光るディテールひとつの積み重ねにより、普遍性の中にスペシャルな感触が宿ります。ファーストリリースより半年が経過したので、経年変化も併せてご紹介させて頂きます。
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「私達の考える “理想的な縫製糸の強度は生地より少し弱いぐらい” でリペアによって複数年愛用することが可能になると考えています。」
デニムの縫いに用いられる縫製糸は原料に綿(カタン)糸が用いられ、それらを職人様ご自身が染め上げた天然染め綿糸を用いています。現在流通する綿糸はデニム生地よりも耐久性が弱くデニムが身体に馴染み始めた頃には所々ステッチが切れてしまうケースが多く、ステッチ切れをしないスパン糸(ポリエステル)だと、デニム生地自体の強度が糸に負けてしまい崩れ始めてしまうケースが見受けられます。
長年愛用する為の生地にとっても糸にとっても最良を模索した結果に手間隙をかけて誕生するのが、本デニムに用いられる縫製糸です。芯まで染まらないので、ステッチとしての存在感はデニム生地に溶け込む様に。光の当たり方で透ける様な箇所もあるので陰影が生まれシャープさをも兼ね備えます。
FABRIC
「生地はタテ糸は7番のムラ糸(コンピューターを使わないランダムなピッチ)を使っているためタテ落ちが少し長めに出ています。」
生地は縦糸に大きなボコ感が出る力織機を選んで織られている。手にしていただければ、リジット状態でも生地全体がフラットではなく若干ボコボコとしているのを感じて頂けるはずです。なぜかと言うと、ウネリが出る事で肌への接触が点になり、夏でも快適に穿けるからです。シアサッカーのようなイメージでしょうか。もちろん年間ご愛用いただけるデニムであり、夏場も心地良く、しっかり穿き込んで育てて頂く事ができます。
CINCH BACK(※1)
「生デニムで作られたウエストオーバーオール(腰までの作業パンツ)の場合着用状態によってどうしてもウエストサイズが安定しません。おろした状態からノリオトシで5cm前後縮みますが着用していくうちに2cm前後伸びて(戻って)きます。また洗うと縮みそれを繰り返していくうちに自分の体にあったパンツになっていきます。その過程でウエストのたるみ分をシンチバックを使い微調整して頂くのが本来の使い方になります。現代の伸縮の安定したデニム生地では必要のないディテールかも知れません。」
背面のウェストに存在するシンチバック。ベルトの代わりを担うディテールはとても歴史的なディテールです。法律の関係でリプロダクションでは中々再現される事の無くなってしまった2本針の形状をチョイス。現代では人体等を傷つける恐れがある為、針の形状を失ったパーツが殆どです。オリジナルディテールへの憧れと言うものは服でなくても抱いてしまうのが人の性なのか、どうしてもカッコよく感じてしまい、時にはニッパーで2本針の形状にしたバックルベルトもありました。せっかくのオリジナルデニム。なのであればと憧れの2本針のディテールで再現しています。最初は保護用のラバーでカバーしています。注意事項をご留意の上お付き合い願います。
RIVET(※2)
「リベットは既成の銅素材です。引っ張り強度は鉄の方が高いですが、すぐに表面に酸化皮膜を作り錆に対して強い為、鉄製の様に崩れることはありません。ポケットのリベットはベルトをしない時代に作業中にポケット口をつかんで人を穴から引っ張りだしたりなど、現代の使い方とは違う使用目的もあった為特に強度を必要とされていましたが現代の生活においてはオーバーディテールかもしれません。」
ウォッチポケット(コインポケット)は付け位置が腰帯すぐ下にしています。これは座ったときに邪魔になりにくい位置ですがベルトをするとポケット口が隠れます。CINCH BACK 同様の理由で見る事が無くなったのが凸ありのリベット。凸を無くしたフラットなリベット、閂による処理、生地を覆い被せたリベットなど、時代を重ねる程に改良が施されています。決して目立つ訳ではないのですが、この無骨さはこのリベットじゃないと体感出来ない。今となれば時代錯誤の本来を追い求めたパーツです。リベットひとつにしても着用を重ねるごとに年月を重ねる程に風合いが変わっていきます。その一つも楽しんでください。このリベットが無かったらと想像すると少し寂しく感じてしまう、何やら魔力を感じます。そしてそのリベットが映えるコインポケットは、ベースとなる時代背景を踏まえて懐中時計が入る大振りのサイズ感に。
PARTS
「ボタンの素材は引っ張り強度の強い鉄です。特に現代の一般的なプロダクトと違う点は針(2プロング)のボタン裏を使用しています。よく使われる1本針タイプとの違いは二本の針で生地を挟んでつかむところです。使用しているデニムは生の状態で製品化するのでポタン取り付け時も生地の隙間が多い状態で作業します。1本針の場合はその隙間を通ってボタンとボタン裏で圧着する為、二本針よりボタンが抜ける確率が高くなります。しかし現代一般的に使われる生地は仕上げ加工がされており生地密度がしっかりしているので故障の可能性は低くなっています。」
リベットやバックルと同様にご注目頂きたいのが、トップボタンに用いられる無地のドーナツボタン。月桂樹ボタンと異なる工業的でミニマムな佇まい。鉄ボタンフライは、少しずつ錆が出て来るので、そこも楽しんでいただければと思います。
SILHOUETTE
シルエットは無骨なストレートシルエットです。モダナイズせずにファッションな見え方では無いシルエットは、長くお付き合い頂きたいと考えた時にお届けしたいと直感したシルエット。トレンド云々飛び越え、老若男女飛び越えて無意識的に存在するデニム。だからこそ穿き続けて育てたいなって強く思って頂けるのではないでしょうか。ただ時代感を感じると気を衒わない初期衝動を感じる無粋なストレートデニムと言うのは、原点回帰を求める今のテンションにもハマるのかなと感じています。パターンとしては膝位置をハッキリと決めていますので、膝上と膝下で区別がされ、シルエットがよりストンと落ちる様になっています。その為通常のレングスよりも、丈上げにより膝位置が崩れない様に短めに設定しています。
※写真はスタッフが約10ヶ月ほぼ毎日着用した物になります。
HAND WORK
「巻縫いは右手が上左が下で縫われます。右高の尻グリのは上から下に向けて縫いますがクロッチ部分にずれが出てしまうとワタリサイズが変化するので縫い直しになります。現代に多い左高の場合はクロッチ側から縫うのでヨーク上の腰帯で隠れる部分が少しずれても誤差としてそのまま縫われていきます。」
フロイントフライ下部を裏返してみていただければ、正面右側が立体になっているのが分かります。これも職人による手仕事だからこそ。股部分が立体的に仕上がり内股にズボンが張り付く様な着用感が生まれます。穿くとお分かり頂ける、快適な着用感の秘密は見えない部分にしっかりと落とし込まれているのです。職人の腕が問われる “右高” と呼ばれる背面ヨークの縫い合わせとなっています。昔ながらの仕様であり縫い直しの際の手間が大きい為に合理化された事で中々見る事の出来なくなった仕様です。全責任でお一人での生産だからこそ拘りを表現できています。
AGING
「デニム生地は織の前行程でタテ糸(経糸)に糊付(sizing)を行いますが製織、縫製時に埃や汚れが付着しまたインディゴの表面が酸化してくすんでいくので着用前には糊落としをします。このパンツ自体は生デニムを使用しているので穿いて伸ばして洗って縮めてを繰り返して少しずつ自分の体に合わしていくものになります。特にデニムは腰で穿くといわれる様に腰へのフィット感が出る様な設計になっております。(デニム生地は一般的にタテがヨコより多く縮むので合わせたいところはタテが長い取り方向になっています。例:バックヨーク、腰帯など)またステッチ部分は洗濯ごとに沈み込みその周りが皺(パッカリング)になり縫製糸が直接擦り切れない様に膨らんできます。そうやって穿き込みと洗いを繰り返しデニム生地の表面の毛羽が抜けきった頃がデニムパンツとしては強度が一番強い(作業着として使える)時期です。それ以降デニムの色とステッチの色がだんだん抜けていくとパンツの強度はどんどん低下していきます。頃合いをみて着用頻度を調整してもらうことで長く穿いて頂くことができると思います。」
販売はリジッド(未洗い)の状態となりますので 0 から育て上げる楽しさと喜びを味わって頂けます。先ずは洗いをかけてノリを取ると、グレイッシュな状態が抜けてインディゴ色が濃く浮き出てきます。洗い乾燥機で縮み切り(乾燥機は強く縮みますが乾燥機縮み分はすぐに伸びます)、自然乾燥であれば3度程の洗いで縮み切りなので、丈上げが必要な際はその際にご相談ください。全く同じ糸で丈上げが可能です。
穿きはじめの生地はドライなタッチで硬さもしっかり。膝も出てきますが穿き込む事で自然な状態になります。捻れも強くそしてご愛用を重ねて頂くほどに生地にはトロミが生まれてしっとりと柔らかに。色落ちも”まだかなまだかな”と焦がれながらもじっくりと楽しんで頂けますと幸いです。幾本かスタッフ私物の経年変化をご紹介いたします。
SGGM Cinch Back Denim Lot.3001 は、ヴィンテージジーンズをベースにディテールもあえて現代的・実用的には寄せず、昔の写真の中の憧れとして、手にした事のないデニムをと各ディテールやシルエットを選びました。このジーンズはボタンフライを閉めた時に感じていただけるフロントサイドの着用感が最高に気に入っています。2本針のシンチバック(※1)と、剥き出しのリベット(※2)は法律や実用面により今は廃れたディテールかもしれませんが拘って選びました。これが出来たのも裁断から縫製といった生産の全工程を1人で作り込んでいるから、まだ穿いたことのない着用感を味わって頂きたい、我々が思い感じる正しいジーンズになってます。
SGGM Project – Lot 3001 2nd Delivery のご紹介でした。洗い後のサンプルを店頭に全サイズご用意しますのでご参考にして下さい。是非とも、日々愛用を重ねて頂きお客様だけの風合いに高めていって下さい。
DETAIL
SGGM Cinch Back Denim
Number : Lot.3001
Color : Indigo Rigid
Size(WxL) : 30×30 , 32×32 , 34×32 , 36×32 , 38×34 , 40×34
Price : ¥33,000 tax-in
ATTENTION
(※1) 保護の為にラバーを付けて販売致しますが先端は針の形状をしています。(※2)バックポケットのリベットは隠さずに、凸を残した状態です。いずれも人体やソファ・車のシート等を傷つける恐れがあります。お取り扱いにはくれぐれもご注意願います。尚、シンチバック(※1),リベット(※2)を原因とした事故・損傷につきましては当店は一切の責任を負いかねます。以上をご理解ご了承の上ご購入をお願い致します。
SGGM|エスジージーエム
2012年にスタートしたレーベル SILVER AND GOLD GENERAL MERCHANDISE=SGGM。自分たちの着眼点から遊び、旅、居住空間、リラックス、アート、MUSIC等様々な要素に取り組んで参ります。毎日の生活が楽しくにこやかに過ごせるをテーマに、各地を旅しながら新しい発見を繰り広げて行きます。