TEATORA SUMMER GEAR 2025 ~夏の黒い三連星~
“SUMMER GEAR INTERVIEW WITH DAISUKE KAMIDE”
涼しく実用的であって欲しい。 だけど、嗜好品たる洋服を身に纏った時の高揚感は捨てたくない。そんな皆様に既に長年支持を得ているのが TEATORA のコレクションです。 嗜好品であり圧倒的に快適・便利な”ギアウェア” を約10年に渡り展開。今回は数年ぶりに TEATORA DESIGNER : 上出大輔 氏にインタビューを依頼いたしました。 “夏の黒い三連星” とは。。。?
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【ABOUT : DOCTOROID ~猛暑キャンセリング~】
SG:上出さん、今回はご協力誠にありがとうございます。 どうぞよろしくお願いします。
上出氏 (以下敬称略):こちらこそよろしくお願いします。
SG:核心に触れながらも、 読者の皆様に質問が下手と思われないように頑張ります。笑 それでは早速、DOCTOROID(ドクトロイド)というシリーズ名称は造語ですよね。 “DOCTOR” と “ANDROID” ですか? 実は全シリーズ、勘繰ってます。笑
上出:“DOCTOROID” はSF映画で出てくる医療用マシーンを指します。 TEATORAを始めたての頃、僕が旅先で熱中症にやられてしまったことがきっかけになり開発したラインで、 その時、朦朧としながら、ベッドで医療用マシーンに治療を受けるイメージが沸きました 。 ちなみにアイコンは医療用ベッドと四方から伸びるロボットアームをイメージしてデザインしています。
SG:SF なんともテアトラらしいジャンルですね。 冷たそうやし温度かなにかかなと漠然と思ってました。 旅行中の熱中症、本来は安静に努めるところですよね。笑
上出:”冷たそうやし”という感想は実は鋭い指摘で、実はこの図案にはサブリミナル的に雪の結晶のイメージを入れているんです。 図案の線の部分を全て消してみると六角形から羽の伸びた雪の結晶のように見えませんか? 雪の結晶は水の性質上、六角形を核に放射状に拡大します。 誰もが知っている雪の結晶のイメージをぎりぎりわからないくらいまで抽象化して裏に仕込んでいるのですがそれに気づいてもらったんですね。
SG:いや、もうロボットアームにしか見えなくなってしまいました。笑 テアトラというブランドネームも確か独自の考え方でしたよね?
上出:はい。まず、これほど座り続けることになった人類は、もはやこれまでの人体ではないなと考えました。 僕がイメージしたのは、人間の臀部とワークチェアが一体化した姿。それを現代の人体と捉えました。
その人体には4つのベクトルが現れます。
①胴体
②右足
③左足
④ワークチェアの支柱
数字の4を意味するTETRAとパンツを意味するTROUSERSをアナグラムして名付けたのがTEATORAです。 ティートラではなくテアトラと読ませるためにAの上にはウムラウトを配しました。
SG:着眼点が常軌を逸してます。笑 でもその着眼点があったから、今テアトラが存在してると考えると面白いですね。 ドクトロイドに話を戻すと、夏は本当に手放せないですね。 リピーター様も非常に多いです。
上出:最近では世界中の気温の高い国々でも人気があります。世界中で涼しさを求めているんですね。
SG:猛暑から世界中の人々を救っている訳ですね。 ブランドに対してダークトーンをイメージするユーザー様が多いと思いますが、 上出さんは何色を手にすることが多いですか?
上出:僕は8割ネイビー、1割グレー、1割ブラックです。 開発中の着用テストは必ずブラックなのでその反動です。
SG:確かにネイビーを着用されてるイメージあります。 ドクトロイドは普段使いはもちろん、お仕事に比重を置いて選ばれるケースも非常に多いです。 初期はパンツのみと言う提案で、初の上着はデヴァイスコートでしたよね。 テアトラが “スーツ提案” を始めるに至ったキッカケは何ですか?
上出:テアトラを始める前から「スーツを軸に展開」することは決めていました。 ただ、ジャケットというのはある種信用が不可欠な存在で、始めるのも、続けるのも、それはそれは労力と時間がかかります。 10年研究開発し続けて、ようやくテアトラ式ジャケットの信用を得ることができました。
SG:確かにスーツは伝統に基づくルールが厳しいイメージがあります。 今やテアトラ流とも言うべきスーツスタイルは本当に革新的でしたよね。 概念の創造というか、高揚感を味わえて周囲も不快に思わない塩梅。 凄いことをしていますね、おべっかじゃないです。笑 既にユーザーも多く、実体験済みの方が多いと思いますが、 折角なのでご本人が思うドクトロイドのオンリーワンな点を教えてください。
上出: 極端な話、涼しさだけを求めるのであればスポーツウェアでもそういう服ってあると思うんです。 でもスポーツウェアって結局どうやってもさまざまなTPOには耐えない。 涼しいけどこのTPOでは着られない、、そういった服はテアトラにとって不便な服なんです。 あらゆるTPOに耐えるのが大前提で、どこまで涼しさの限界に近づけるか? そのバランスの調和がドクトロイドの最大の武器だと思います。
SG:TPOと嗜好を同時に満たす、相反するモノが精神的にも物理的にも共存する服ですね。 静かなブランドイメージに激しい渦が内包されている様です。 さて「テアトラサマーギア特集」が幕開けしました。 あと2シリーズ、宜しくお願いします。
【 ABOUT : AQUAKINESIS ~ビーチリゾートギア~ 】
SG:続いて、アクアキネシスについてお聞かせください。 これはもう「AQUA」と「TELELINESIS」で間違いないです。(笑) 〇〇キネシスという言葉を接客で使う日を想像してなかったです。
上出:おおよそ正解です 笑
SG:おおよそが悔しいですね。笑
上出:KINESISっていうのは動きを意味しますが、テレキネシスやサイコキネシスはどちらも念力を指します。 ざっくり言えば手を触れずに物体を動かす力で、亜種だとパイロキネシス=火を操る(動かす)みたいな言葉もあります。 アクアキネシスの撥水、超速乾のテストをしていた時に、まるで水を操ってるみたいだなと思いAQUAKINESISと名付けました。 ちなみに、アイコンは水を操っている様をイメージしてデザインしています。
SG:確かに撮影時、生きてるかの如くに水が動く様に興奮しました。 テアトラの撥水といえば、都市的な範疇による必要最低限であり最大限な機能を持つシリーズという認識です。 確かに弾くけど、それでいて都市的な印象を損なわない。 勝手にレインウェアとしても認識しています。
上出:確かにアクアキネシスは撥水性も申し分ないため、小雨であればそういった使い方も可能です。 ただ、アクアキネシスはビーチリゾート用ギアとして開発しています。 最大の特徴は”超速乾”です。
SG:なるほど、特にどういったシーンに有効ですか?
上出:例えばアクアキネシスのショーツで海に入ったとします。 雨と違って、水中では水圧がかかるため糸の隙間に水が入り込みます。ちょうど金属のザルを洗った時、ザルの穴に水が入り込んでいるようなイメージです。 日差しが強ければ放っておいてもすぐ乾きますが、タオルでささっと拭いてやるとよりすぐ乾きます。その際、服よりも自分の体が濡れているので、ショーツであれば太ももをタオルで拭くと乾きが早くなります。 あと、海に入らずとも南国は急なスコールにやられることは多いですから、そう言った意味ではレインウェア的な側面もありますね。
SG:実際にリゾートシーンで使うと満足度が更に上がりそうですね。 ところでサマーギア特集には “ドクトロイド” “アクアキネシス” “ホバーレイヤー” とありますが、 一本化するのではなく、何故3スタイル存在するのか不意に気になりました。棲み分けはありますか?
上出:とても良い質問です 笑
SG:お任せ下さい。笑 一消費者としても、お客様にオススメする立場としても、上出さんはどうなんだろう?と気になってたんです。
上出:直営店でよく、涼しいやつどれですか?って聞かれるそうです。結論から言うと DOCTOROID、AQUAKINESIS、HOVERLAYER の3シリーズはどれも涼しいです。涼しいを当たり前に備えた上でそれぞれの特性を持たせてあります。
SG:具体的にはどうですか?
上出:◯DOCTROID 涼しい上に仕事にも行けるGHOSTCODEの夏版的な役割・接触冷感でひんやりしたタッチ・涼しい3種の中で最も様々なTPOに耐えます。
◯AQUAKINESIS 涼しい上に動きやすく水に強い・湿度が高くても常にドライタッチ・涼しい3種の中で最もサマーアクティビティー向き。
◯HOVERLAYER 涼しい上に超軽量で嵩張らないPACKABLEの夏版的な役割、風通しがよく、熱がこもらない・涼しい3種の中でも最も出張や旅行向き。
というようにテアトラで夏季に販売するもので涼しくない素材はありません。
SG:似ているけどそれぞれにちゃんと個性がある、3兄弟みたいな印象ですね。
上出:僕は旅の荷造りの際、この3シリーズを並べて、心の中で ”夏の黒い三連星” と呼んでいます 笑。
SG:ニヤリとした上出さんの顔が浮かびました。笑 そうなると「夏の黒い三連星」を揃えて完成させたくなりますね。既に確立された春夏のシリーズが存在する中、何故アクアキネシスを誕生させようと思ったんですか?
上出:何年か前に既に開発済みだったのですが、コロナで旅行どころではなく発表が数年遅れました。旅にはよく出かけるので、僕にとってビーチリゾートギアというのはとても身近なもので、常にもっと良くする方法を考えています。
SG:テアトラ = 都市的 という印象が強くって、 リゾートという響きにやや違和感を覚えるのが不思議です。 最近はどこかへ行かれましたか?
上出:最近はいろんな国からお話しをいただくので、直近では砂漠に行き、夏の黒い三連星の実用テストをしてきました。熱帯から砂漠までいろんなタイプの暑い国に行ってテストしています。
SG:砂漠ですか!?夏の三連星への信頼度がうなぎ登りです。笑 因みにリゾート地に赴く際は何を持っていくんですか?
上出:宿泊数や気温にもよりますが僕が必ず持っていくのは、
①CARTRIDGE SHIRT L/S HL 襟がついていないと入れない店がある時用・飛行機やレストランなど冷房で寒い時に便利。
②WALLET PANTS RESORT HL 短パンでは入れない店がある時用・嵩張らず風通しが良い
。
③WALLET JKT PLUS HL 仕事用・旅先の気温が想定よりも肌寒い時にも便利
。
④WALLET SHORTS RESORT AQ
昔は海パン2枚は持って行ってたが、速乾性がすごいので1枚で良くなった
。
⑤WALLET SHORTS RESORT DR
昼間はほぼこれ、洗濯が面倒なので大体2枚は持っていく。
これらはビーチリゾート以外でも亜熱帯都市や砂漠など、どこでも共通してとても便利です。
SG:なるほど。TPO含め盤石ですね。そしてコンパクト、エコバックで海外に乗り込めそうです。「上出大輔のキャリーケース覗き見 : 秋冬版」もまたお願いします。笑 なんだか寂しですが、三連星を完成させる最後のピース。ホバーレイヤーについてお願いします。
【 ABOUT : HOVERLAYER ~無重力体験~ 】
SG:悔しいですが、ホバーレイヤーの由来は全く想像がつきません。笑
上出:HOVERというのは同じ場所に浮いて停止するみたいな意味ですが、ホバークラフトやバックトゥザフューチャーのホバーボードのあの浮いたイメージです。
SG:やはり SF が絡んできますね。服との関連性はどういったところですか?
上出:軽すぎて皮膚の上に浮いてしまうような様をイメージしています。
SG:確かに「着てないみたい」と、店頭でも皆様が口を揃えて仰います。メガネ探してたけど実はかけてた状態です。言い過ぎですかね。笑 ただ 〇〇g とタグに記載がある程ですから。
上出:多分ほとんどの男性が体験したことのない軽さなので最初は不安になる人もいるみたいです。このシリーズはテアトラで唯一、丸型アイコンを用いず様々な素材を用いるシリーズで、浮くほど軽い布を、気温によってレイヤードしていくというコンセプトで開発されています。 現在は通常のホバーレイヤーとニットシリーズの2種だけですが、来年からホバーレイヤーに新しいシリーズが加わる予定です。
SG:素材を限定しないから丸型のアイコンでは無いんですね。仰られる通りにレイヤード次第で適切だし、春夏秋冬をカバーする絶妙なルックスですね。新シリーズ、秘密ですよね?笑
上出:ひとつは夏季用の柄物の HOVERLAYER、もうひとつは冬季用の暖かい HOVERLAYER を準備していて、どちらも2026年のリリースを目標にしています。
SG:柄モノに秋冬モノですか? 来年が楽しみです。リリース時のビジュアルはテアトラ千駄ヶ谷の店内を舞台に什器が浮いているという、正に無重力そのものといった表現でした。何故この軽さを目指したのですか?
上出:テアトラは基本的に数値化することをしません。例えばこのダウンは世界一あったかいですよというものがあったとしても、環境や気温によっては、いやいや暑すぎて着れないよとなってしまう。 ほとんどの数値化できることは外的要因によってメリットがデメリットになることすらあるため、数値が高いということよりも「丁度いいが最も機能的」であると考えています。故に数値化しません。 ただ、軽さに関していえば、テアトラが想定するTPOにおいては重い方が良いというTPOは存在しない。 ならば品格を維持できるギリギリのところまで軽くしようと開発されたのがホバーレイヤーです。
SG:丁度いいが最も機能的、明確な答えが無いだけに本当に挑戦ですね。その”丁度いい”に共感する方や探していた方が多いんだろうなと思います。弛まない努力で長年にわたり模索し続けてきた上出さんの姿が浮かびます。 先程のリゾート地に赴くラインナップで、長袖系・長ズボンを独占したホバーレイヤーですが、どうしてなんでしょうか?空気をはらんで循環させるという文言が公式説明にありますが詳しく教えていただけますか?
上出:HOVERLAYER はテアトラで最も薄くて軽い生地を採用しています。これは使用している糸量が最も少ないということですが、言い方を変えれば最も裸に近いんですよね。ですので当然熱放出はテアトラでもトップクラスです。
SG:実は今、愛用中のホバーレイヤージャケットを着てパソコンに向かってます。確かに熱が溜まらないと言う感覚を味わっています。 コットンの長袖シャツって当たり前のように真夏も袖を捲って着るんですが、これまで経験したきたそれらより涼しい気がしますね。 涼しいというか ”適温” が近いんですかね。所謂高級ウールや高級カシミアが味合わせてくれるソレ感じています。
上出:軽さに驚くあまり最初は気づかないんですが、これほど熱を溜め込まない服は世界中で探してもHOVERLAYERを超えることは難しいでしょう。 また、超軽量で風通しがよく張り付かないため、風を取り込むとばたばたと揺らぐ。 裸で黒い羽衣を纏っているようなイメージでしょうか。笑
SG:スーパーモデル気分ですね。笑 旅の必需品と仰るに至るホバーレイヤーの個性はどこにあるんでしょうか?
上出:旅先では、飛行機やホテル、レストランなど冷房で寒すぎる環境が多々あり、出発地と到着地では気温が全く違うことがほとんどなので超軽量の羽織は重宝します。 また、どの国も、襟付き、長ズボンじゃないと入れない店は結構あります。涼しくて嵩張らず超軽量。旅着としてHOVER LAYERは最強です。
SG:最強、いい響きですね。 新しいホバーレイヤーシリーズの登場という、胸踊る情報をありがとうございました。 最後までお付き合い頂いた皆様にとっても有意義な内容であれば幸甚でございます。
上出:長話にお付き合いいただきありがとうございました。 また猛暑がやってきます。こまめな水分補給で熱中症にお気をつけください。